川崎の森を育む家づくりねっととは
森を取り巻く環境は、木材価格の低迷、人件費の高騰、安価な外材による住宅建築による需要減、林業家の高齢化、営林に対する国民的な無関心等々、大変厳しいものとなってから30年以上の月日が経過した。今では町の林業家も見放すほど経済的に成り立たない状況にある。そのため、第二次世界大戦後に大量に造林された杉をはじめとする人工林の多くが、手入れされずに放置されたまま今日を迎えている。
手入れされない人工林の多くでは、間伐が不十分なため、過密な状態となり、一つ一つの木が根をしっかりはり、太くたくましく成長することができない。そのため、森が本来持っている保水力が失われ、豪雨のたびに地滑りや土石流を起こしている。また、山間部の町村は過疎化に歯止めがかからず、川崎町も例外ではない。
この川崎町の面積の8割を占める森林の、杉を中心とする人工林を持続可能な形で伐採し、その木を使った家造りを進めることで、森の再生と就業機会の確保による若年層の町への定着、ひいては、木材資源の循環へとつながる、森と町と人とのつながりを創造する(地産地消は運送コストの削減すなわち二酸化炭素排出量の削減を意味し地球温暖化の防止にも役立つ)。そして、より良い自然環境に恵まれた森林資源を次世代に伝えること。優れた建築用材を生み出す樹木を育みつつ、生態的に優れ、水源涵養機能の高い豊かな森林を次世代へ伝えること。さらに、住む人にとって、無垢材で作る、合成化学物質のほとんどない、命あふれる健康な、質の高い、且つ各生産業者それぞれがコスト削減の努力をし、透明度の高い内訳書を作成し、リーズナブルな価格の家をつくること。自然素材を活用する建築技術を伝え、職人を育てることで地域の雇用を確保すること。
これらが私たちの目的である。
これらの目的を達成するために、森を育む健康な家と認められる家づくりを推し進め、林業者・製材業者が協力して、請負者に特別協定価格にて木材を供給する。一方、請負者と施主との双方から、「未来の森づくり基金」と称する育林基金への拠出をお願いし、その基金を基に、次世代に健全な森を伝える育林活動を支援する。